
2026年度(令和8年度)は、IPA(情報処理推進機構)が主管する情報処理技術者試験の受験方法と日程が大きく変わる節目の年です。長年続いてきた紙の試験から全面的にCBT(コンピュータ試験)へ移行するほか、2027年度以降には試験区分の再編・新設も予定されています。この記事では、受験を検討している方が知っておくべき変更点を一通り整理します。
IPA資格とは|試験の全体像をおさらい
まず、IPA資格(情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験)の現行の体系を確認しておきましょう。2026年度現在、全部で13の試験区分が存在します。
IPA試験は難易度を示すスキルレベル(1〜4)で区分されており、入門から上位専門職まで幅広い層を対象としています。現行制度の主な試験区分は次のとおりです。
| スキルレベル | 試験区分 | 実施方式 |
|---|---|---|
| レベル1 | ITパスポート試験(IP) | CBT(通年) |
| レベル2 | 情報セキュリティマネジメント試験(SG) | CBT(通年) |
| レベル2 | 基本情報技術者試験(FE) | CBT(通年) |
| レベル3 | 応用情報技術者試験(AP) | 2026年度よりCBT |
| レベル4 | 高度試験8区分・情報処理安全確保支援士(SC) | 2026年度よりCBT |
上表のとおり、ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者の3試験はすでにCBT化されていましたが、2026年度の変更によって応用情報技術者試験・高度試験・SCも含む全区分がCBT方式に統一されます。
2026年度(令和8年度)の主な変更点
2026年度の変更は、主に「試験方式」「日程」「科目名称」の3点に集約されます。それぞれの内容を順に見ていきましょう。

試験方式がCBTに全面移行(最大の変更点)
2026年度から、応用情報技術者試験(AP)、高度試験8区分(ST・SA・PM・NW・DB・ES・SM・AU)、情報処理安全確保支援士試験(SC)の計10区分が、これまでのペーパー試験からCBT方式へ移行します。
IPAは「出題する知識・技能の範囲、出題形式(多肢選択・記述・論述)、出題数、試験時間に変更はない」と公式に明記しています。2026年度は試験方式が変わるだけで、問われる内容の難易度や範囲は現行のまま維持される予定です。
なお、CBT会場でのキーボード操作が難しい方のために、紙の試験(特別措置試験)も前期・後期ともに引き続き実施されます。
試験日程が「春期/秋期」から「前期/後期」へ変更
従来は4月(春期)と10月(秋期)の年2回、全国一斉の日曜日に実施されていましたが、2026年度からは下表のように変更されます。
CBT方式では1日に全員が同じ問題を解く必要がないため、指定期間中の好きな日時・会場を選んで予約できるようになります。申込時に科目A群と科目B群の両方を同時に予約する仕組みになる見込みです。
前期・後期の対象区分(予定)
前期で実施される試験はAP・ST・SA・NW・SM・SC、後期はAP・PM・DB・ES・AU・SCです。APとSCは前期・後期の両方で受験機会があります。一方、1回の申し込みで受験できる区分は1つのみで、前期・後期それぞれ各1区分に限られます。
科目名称の変更
試験時間を示す名称も変わります。これまでの「午前/午後」という呼び方は、CBT化に伴い時間帯の概念がなくなるため、次のとおり改称されます。
従来の「午前試験(AP)」は「科目A試験」、「午後試験(AP)」は「科目B試験」になります。高度試験・SCについては「午前Ⅰ」が「科目A-1」、「午前Ⅱ」が「科目A-2」、「午後Ⅰ」が「科目B-1」、「午後Ⅱ」が「科目B-2」にそれぞれ変更されます。
科目A-1免除(旧・午前Ⅰ免除)制度は2026年度でも継続します。令和6〜7年度に応用情報・高度・SCに合格または午前Ⅰを通過した方は、引き続き前期試験での免除申請が可能です。
シラバス改訂(2026年1月施行)
2026年1月8日付で、全13区分のシラバスが改訂されました。技術面の大幅変更ではなく、法令名の変更への対応が主な内容です。「下請法」という呼び名が削除され、代わりに「中小受託取引適正化法(取適法)」が追加されました。フリーランス・準委任契約を含む業務委託全般に適用対象が拡大された法制度の改正を踏えた更新です。
また、2025年4月のシラバス改訂では「プロバイダ責任制限法」が削除され、「情報流通プラットフォーム対処法」に置き換えられています。2026年度の試験では、これら2回の改訂内容がいずれも出題対象になります。
通年試験(iパス・SG・FE)の一時休止に注意
ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者は、CBTシステムの移行作業のため2026年12月28日以降に受験申し込みが一時休止となる予定です(2026年3月時点の発表では2026年4月27日休止の予定でしたが、システムリプレースの延期に伴い変更されました)。
2027年1月以降に再開される予定ですが、その時点では新シラバス・新出題構成に切り替わる可能性があります。これら3試験の受験を考えている方は、2026年12月27日までに受験を済ませておくことをおすすめします。
【2027年度以降】試験区分の大幅再編が予定されている
2026年度は変更の影響が比較的小さいですが、2026年度は現行試験区分で受けられる最後の年度となります。2027年度からは新しい試験制度への移行が予定されており、その概要はすでに公表されています。
応用情報・高度試験9区分が3区分に再編される予定
経済産業省とIPAは2026年3月31日、情報処理技術者試験の区分体系を見直す方針を発表しました。現行の応用情報技術者試験と高度試験8区分・情報処理安全確保支援士試験を大幅に再編し、2027年度以降に「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」3区分へ統合する予定です。この名称や詳細な試験内容は、2026年度夏頃に順次公開される見込みです。
想定される3区分の方向性は次のとおりです。
これらはあくまで現時点での検討案であり、正式な内容は今後の公表を待つ必要があります。
「データマネジメント試験(仮称)」が新設される
ITパスポートの次のステップとして、データ整備・管理スキルを評価する新試験が2027年度以降に設けられる予定です。AIを活用する上で必要なデータリテラシーを問う内容が中心となる見込みで、ITパスポートとプロフェッショナルデジタルスキル試験の中間に位置する試験と想定されています。
情報処理安全確保支援士(SC)は独立して継続
SCは情報処理促進法に基づく登録制の国家資格であるため、今回の再編対象には含まれず、独立した試験区分として維持されます。ただし、科目Bの出題構成(マネジメント分野の強化など)は変更される予定です。
情報処理安全確保支援士|登録更新制度の変更(2026年4月〜)
試験そのものとは別に、登録セキスペ(情報処理安全確保支援士)の更新制度にも変更があります。2026年4月1日より「実務経験者に対する講習制度」が新設されました。
従来、登録セキスペは3年間で「オンライン講習×3回」に加え「実践講習または特定講習×1回」の受講が義務付けられていました。新制度では、所定のサイバーセキュリティ実務経験(ITSS+セキュリティ領域の実務、中小企業向けセキュリティ支援業務、実践講習講師実績など)をIPAに認定された場合、3年に1回の実践・特定講習が免除され、オンライン講習のみで更新が可能になります。
申請にはIPAへの電子申請と評価者による実務従事証明書が必要で、申請手数料は1回3,500円(非課税)です。
受験を検討している方へ|2026年度の受験戦略
これまでの変更点を踏まえると、2026年度の受験については以下の点を意識しておくと良いでしょう。
2026年度の試験は、出題範囲・難易度が現行制度のまま維持されます。これまでの過去問や参考書がそのまま活用できるため、受験準備の面では最も取り組みやすい年度といえます。
一方で、2027年度以降は試験区分の名称・構成・出題形式が変わる可能性があります。現在の試験区分名(応用情報技術者、ネットワークスペシャリストなど)で合格証書を取得したい場合は、2026年度が実質的に最後の機会になります。
特に応用情報技術者試験の合格者は、高度試験の科目A-1試験免除制度(有効期間2年)を活用できます。2026年度前期(11月頃)に合格した場合、その免除は2028年頃まで有効になるため、2027年度の新試験開始後も一定期間は免除資格を活かせる可能性があります。
試験申し込みの開始時期や詳細スケジュールはIPAの公式ページで随時更新されますので、受験予定の方はIPAの公式サイト(ipa.go.jp/shiken)を定期的に確認することをおすすめします。
まとめ
2026年度のIPA資格試験の主な変更点を整理すると、次のようになります。
応用情報技術者・高度試験・情報処理安全確保支援士試験の全10区分がCBT方式へ移行し、これによりIPA全試験区分のCBT化が完了します。試験日程は従来の「春期4月・秋期10月」から「前期11月頃・後期2月頃」に後ろ倒しとなり、試験の科目名称も「午前・午後」から「科目A・科目B」に変わります。一方で、出題範囲・出題形式・難易度に変更はなく、過去問活用による対策が引き続き有効です。
さらに2027年度からは、応用情報・高度試験9区分を3区分に再編する大改革が予定されており、新試験の詳細は2026年度夏頃に公表される見通しです。現行の試験区分体系で受験・合格を目指す方にとって、2026年度は絶好のタイミングといえます。
参考情報(IPA・経済産業省公式)




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